農業と経済　2017年10月臨時増刊号（vol.83 No.10） 第83巻 第10号

農業と経済　2017年10月臨時増刊号（vol.83 No.10）
特集「農業競争力の強化とは何か――農業競争力強化プログラムがめざす農業像」

2016年11月、政府は具体的な輸出戦略と「農業競争力強化プログラム」を加えるかたちで、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂した。白書でも“強い”農業がテーマとなっている。この強化プログラムの内容を分析し、それらが日本農業の“強化”に本当に有効なのか、めざす農業像と現状との距離を明らかにする。

Ⅰ　座談会　食料・農業・農村白書から読み取る「強い農業の創造に向けた取組」――「強い農業」は実現するか
山口英彰（農林水産省大臣官房総括審議官・座談会時）
金田富夫（茨城県なめがた農業協同組合営農経済部長）
衣笠愛之（有限会社夢前夢工房社長、 株式会社兵庫大地の会代表取締役社長）
飯尾　歩（中日新聞社論説委員）
秋津元輝【司会】（京都大学大学院農学研究科教授）

Ⅱ「農業競争力強化プログラム」の論点――めざす農業像と現状との距離

1　「農業競争力強化」の本質と狙いをどう読み解くか　磯田　宏
2　アベノミクス農政の黄昏──官邸主導型から官邸専決型へ　谷口信和
3　国内外の需要の拡大
　　戦略的輸出体制の整備──輸出増の競争力　下渡敏治
　　米国の農産物チェックオフ制度──概要と実態、日本への示唆　平澤明彦
4　農林水産物の付加価値向上
　4-1流通・加工の構造改革──販売価格引上げの競争力①農協改革　成田拓未／②農業競争力強化プログラムと卸売市場改革　細川允史
　4-2畜産経営安定法（畜安法）改正による生乳流通制度改革　矢坂雅充
　4-3誰のための主要農作物種子法廃止なのか──価格引下げは実現するか　久野秀二
5　生産現場の強化　
　5-1土地改良制度見直しの意義と限界　安藤光義
　5-2飼料用米の助成金制度が抱える継続性の問題　伊庭治彦

【コラム】
偏った安倍政権の農業観と農政・農協改革の問題点　清水徹朗
法人経営者は今回の指定団体制度改革をどのようにみてきたか　小針美和
農地中間管理機構における土地改良制度見直しと農業委員会改革　稲垣照哉
米政策転換の評価──現場の人びとの見方と今後の展望　荒幡克己
「攻防の妙手」としての飼料用米の増産に向けて　加藤好一